「桜を見る会」問題について調べてみました

「桜を見る会」問題について調べてみました

概要

総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐり、野党側は、安倍総理大臣の説明では到底、納得できないとして、予算委員会の集中審議を開くよう改めて求めました。
これに対し、与党側は、応じられないという考えを伝えました。
総理大臣主催の「桜を見る会」をめぐり、安倍総理大臣は記者団に対し、前日行われた懇親会を含め、みずからの事務所の収入や支出はないとして、政治資金収支報告書に記載する義務はなく、領収書の発行も行っていないなどと説明しています。
これを受けて野党側は、国会対策委員長らが会談し、安倍総理大臣の後援会が懇親会を主催したのであれば、政治資金収支報告書への記載は必要であり、これまでの説明では到底、納得できないという認識で一致しました。
そのうえで与党側に対し、予算委員会の集中審議の開催を引き続き求めるほか、今週質疑が予定されている衆議院内閣委員会に、安倍総理大臣の事務所の会計責任者と、懇親会が開かれたホテルの担当者を参考人として招致するよう求めていくことを確認しました。
このあと、立憲民主党の安住国会対策委員長が、自民党の森山国会対策委員長に、こうした要求を伝えました。
これに対し、森山氏は、「所管する内閣委員会で議論すべきだ。参考人招致もあまり前例がない」などとして応じられないという考えを示しました。

桜を見る会とは何か

「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため」を目的とし、皇族、元皇族、各国大使等、衆議院議長と参議院議長及び両院副議長、最高裁判所長官、国務大臣、副大臣及び大臣政務官、国会議員、認証官、事務次官等及び局長等の一部、都道府県の知事及び議会の議長等の一部、その他各界の代表者等、約1万人が招待され、酒類や菓子、食事が振る舞われる。招待客の参加費や新宿御苑の入園料は無料であり、費用は税金から拠出されます。

桜を見る会の前身として「観桜会」があります。
この観桜会は1881年(明治14年)に吹上御所で「観桜御宴」が行われたのを前史とし、1883年(明治16年)から1916年(大正5年)までは浜離宮、1917年(大正6年)から1938年(昭和13年)までは新宿御苑に会場を移し、いずれも国際親善を目的として皇室主催で行われていました。
この観桜会を復活させる形で1952年(昭和27年)に吉田茂が総理大臣主催の会として始めたのが「桜を見る会」です。
開催地は観桜会と同じく新宿御苑となるが、同園は1947年(昭和22年)の閣議決定により旧皇室庭園から国民公園へと変更されています。

1952年から毎年開催されており、民主党政権では当時の鳩山由紀夫首相が2010年4月に開催しています。
ただし、1995年は阪神淡路大震災、2011年は東日本大震災、2012年は北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応を理由に中止されています。

野党が指摘した問題点

招待数と支出額の増加

2019年5月13日、衆議院決算行政監視委員会で、日本共産党の宮本徹衆議院議員が、第二次安倍政権の5年間で「桜を見る会」の支出額が増加し続けており、毎年予算額を大幅に上回っていることを問題として指摘。
宮本は、「(安倍内閣で)功労をあげた人が急に増えたのか」「招待客の基準が全く不透明」「こういう支出のふやし方というのは、官房長官、国民の理解は決して得られないんじゃないですか」と批判しました。
同じく、日本共産党の田村智子参議院議員は2019年11月8日の参議院予算委員会で批判。
2019年11月11日、菅義偉内閣官房長官は「来年度(2020年)の概算要求では、テロ対策の強化や混雑緩和の措置など、近年に講じた改善点を反映させており、実態にあわせた要求を行っている」と述べました。

招待の基準の不透明さ

2019年10月29日、「参加者選定に係る基準及びその基準が妥当であると考える根拠」を質問された内閣は、「毎年、内閣官房及び内閣府が定める『桜を見る会』開催要領に基づき招待している」と回答。
2019年11月8日、先述の田村智子は「安倍首相の地元後援会のみなさんを多数招待している」「友田(有・山口)県議、後援会女性部はどういう功労が認められたのか」などと指摘して批判した。
これに対し大塚幸寛内閣府大臣官房長は「具体的な招待者の推薦にかかる書類は、保存期間1年未満の文書として廃棄している」と述べ、安倍晋三は「会は各界で功績、功労のあった方々を招いて開催している。
地元には自治会やPTAなどの役員をしている方々もいるので、後援会の方々と重複することも当然ある」と述べました。

また、田村は「安倍事務所に申し込んだら、内閣府から招待状がきた」という下関の後援会員の証言があると指摘し、「税金の私物化が行われている」と指摘して非難した。
さらに、開催前日の後援会員との懇親会に安倍晋三の妻である安倍昭恵が出席している事を指摘し、「(桜を見る会が)まさに首相の後援会の一大行事になっている」と指摘して批判した。
立憲民主党の安住淳衆議院議員は安倍晋三の地元後援者らが招かれていることについて、「事実だとすれば、内閣総理大臣がその地位を利用して個人の後援会活動にそれを利用していたと。いわば税金で主催するこの国の公的行事で接待していたと受け取られかねない事案だと思います」と述べました。

自由民主党の若林健太元参議院議員はブログで「大臣政務官(在職当時)としてご招待出来る枠を数件頂いたので、後援会役員の方に声を掛けさせて頂いた」「私が許された枠は5組だけ。お世話になっている地元関係者へご案内を申し上げている」と自身の権限で招待したと述べてます。

公職選挙法との関わり

公職選挙法では投票や選挙運動の報酬として財産上の利益などを供与したり、供応接待することは事後報酬供与罪(事後買収)として禁じており、罰則は3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金となっている。
無料で酒や食事が振る舞われる桜を見る会に、与党国会議員が推薦枠を使って自分の選挙区の後援会関係者を招くことについて、自分の資金を使えば公職選挙法違反になることを税金を使ってしていることになりモラルが問われると批判を受けている。
日本維新の会の音喜多駿参議院議員は、権力者がこのような形で支援者に便宜供与を図れてしまうことは、民主主義の根幹を捻じ曲げる可能性があると指摘し、安倍総理と自民党の私物化が疑われる「桜を見る会」は中止すべしと述べている。

招待状の売買問題

桜を見る会は、招待状さえ持っていれば入ることができ、自民党議員の政治資金稼ぎに利用されているとの指摘が出ている。
2019年4月16日、FRIDAYデジタルは、桜を見る会の招待状が、自民党の政治パーティー券との抱き合わせで8万円の価格で売買がされていると報じました。

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